本田宗一郎にとって、顧客とはどういう存在だったのか。彼の言葉から見ていきましょう。
本田宗一郎の言葉
ホンダの創始者である本田宗一郎の有名な言葉としては
「いちばん長いこと付き合わなきゃならねえ人のことを考えろ、いちばん長いのはお客さんだろ、その次は売った店の修理工だろ、その次が、ウチの工場の人間だ」
というようなものがあります。
また、テストの段階で部品が故障するトラブルが発生したときのこと。
本田宗一郎の出す解決策が、コストに響くと考えた部下は、この部品の故障率は0.01%だから対策しなくても大丈夫です。と反論すると、本田宗一郎は、
「その一個を買ったお客さんにとっては100%の確率じゃないか、何を考えているのだ」
と言って部下にカミナリを落としました。
このような言葉は、物事の本質を的確に語っています。
こうしたエピソードは、本田宗一郎に関する書籍の各所で紹介されています。サービスや商品を提供する立場にある人にとって、顧客中心主義の本質をこれほど簡潔に言い表した言葉は、そう多くありません。
顧客中心主義とはどのようなものか
車に限定されたことではありませんが、競争に生き抜くためには、企業としては徹底的に顧客中心主義になることが必要です。
ここでいう顧客中心主義は、「お客さまは神様」といった精神論ではありません。「常にお客さま第一で取り組んでいます」とスローガンを掲げればよい、という話でもありません。
顧客中心主義とは、戦略や戦術を採用するかどうかの判断基準を、企業が顧客の側に置くということです。
どのような戦術や戦略でも、顧客がサポートしてくれなければ、いつかは間違いなく破綻します。
「こうすれば必ず儲かるだろう」と企業が考えたときに、「こうすれば、これだけの顧客が、こういう理由で支持してくれる。だから長期的にも儲かるだろう」と、顧客の側に具体的な理由を求める。それが顧客中心主義です。
つまり顧客中心主義とは、顧客を正しく理解し、その理解をもとに「やるべきこと」と「やらなくていいこと」を決める、実践的な判断の枠組みです。そして、それを具体的な施策へ落とし込んでいくものです。
顧客を正しく理解する。言葉にすれば簡単ですが、実際には手間のかかる作業です。本田宗一郎が「その一個を買ったお客さんにとっては100%だ」と言えたのは、顧客を数字の集まりではなく、一人ひとりの顔として見ていたからでしょう。
自社の戦略を決めるとき、そこに具体的な顧客の顔が浮かんでいるか。顧客中心主義とは、結局のところそういうことなのだと思います。
朝礼スピーチ例文(そのまま読めます)
本田宗一郎さんの話です。
ホンダの試験で、ある部品に故障が見つかりました。対策には費用がかかります。
部下が報告しました。この部品の故障率は0.01パーセントです。だから対策しなくても大丈夫です、と。
本田さんは、こう言って叱ったそうです。
その一個を買ったお客さんにとっては、100パーセントじゃないか。何を考えているんだ、と。
一万台に一台の故障です。会社から見れば、たしかに小さな数字でしょう。でも、その一台を買った人にとっては、自分の車が壊れたという事実がすべてです。
本田さんには、もう一つ有名な言葉があります。いちばん長く付き合わなければならない人のことを考えろ。いちばん長いのはお客さんだ。その次は売った店の修理工だ。その次が、うちの工場の人間だ、と。
自分たちを最後に置いている。順番がはっきりしています。
私たちも、数字で仕事を見る場面があります。達成率、不良率、クレーム件数。便利ですが、その数字の向こうに一人ひとりがいます。
今日、自分が扱っている数字の向こうに、誰がいるか。一度、顔を思い浮かべてみてください。

