ジャパネット髙田明氏 ― 3秒の間で売上が3倍変わる

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2021年8月、弊社・WizBiz主催のオンライン講演に、ジャパネットたかた創業者の髙田明氏をお招きした。テレビショッピングで年商1500億円規模まで会社を育てた話し手が、講演の最後に語ったのは「伝える」ことについてだった。そこには、今日から試せる具体的な技術があった。

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「間が次の有を生み出す無である」

講演の締めくくりで、髙田氏はこう切り出した。

「最後に“間が次の有を生み出す無である”ことをお伝えします」

テレビショッピングの画面越しに商品を売り続けてきた人の言葉である。続けて語られた内容は、きわめて具体的だった。

「TVショッピングのトークでも、間を置かずに自分の言い分だけ言っても通じません。金額をいうときも、間を置くことにしています。3秒の間を空けるだけで売上が3倍変わります」

3秒。長さを聞いて拍子抜けするかもしれない。だが実際に会議やプレゼンの場で3秒黙ってみると、相当に長い。話す側にとっては沈黙が不安になる長さである。その不安に耐えるかどうかで、結果が3倍変わるというのだ。

髙田氏の指摘は、対面の場面にも及ぶ。

「相手と会話しないといけません。営業に行っても、3人の方がいたら3人の目を見ながら話す。じっくり間を置いて、相手の話も聞きながら、自分の主張をしっかり伝えていきます。1番大事なのが間。それに大事なことは繰り返すことですね」

そして最後に、笑いながらこう付け加えた。

「そして声はですね、高い方がいいです(笑)。ボソボソの低音では愛が伝わりませんから」

あの声は、16年間の産物だった

髙田氏のあの高い声は、多くの人の記憶にあるだろう。だがあれは生来のものではない。

髙田氏は父親のカメラ店を手伝い、平戸から佐世保にかけて、16年間にわたって観光写真を撮り続けた経歴を持つ。旅館の宴会場に入って写真を撮り、翌朝の朝食までにプリントして販売する仕事である。

「写真も上手に撮らないと半分が売れ残ります。(中略)ほとんどの人が最初は恥ずかしくて下を向きますね。“こっちをむいてください”と何回も声をかけ、ぱっちり目が開いた瞬間に撮ると、ほとんどが売れます。16年間声をかけ続けた結果、TVショッピングであんなに高い声になったんです」

宴会場の騒がしさのなかで、下を向いた客の顔を上げさせる。そのために出していた声が、そのままテレビの向こうへ届く声になった。

話し方の技術は、生まれつきの資質ではない。必要に迫られた現場で、繰り返しているうちに身についたものだということになる。

朝礼で、Passionを持って語りかけているか

「間」の話に先立って、髙田氏は伝えることの前提について語っていた。

「私が大事にしているのは3つの“ション”、Mission、Passion、Actionです」

企業は何のために存在するのか。お金儲けや利益は手段であって最終目的ではない。人の人生を豊かにするために企業活動をしている――そのMissionを持つことが出発点だという。そしてこう続けた。

「今を生きるためにはPassionが必要です。社長は朝礼のときにも、Passionを持って社員に語りかけていますか? 情熱を持って語りかけていただきたい」

さらに髙田氏は、世阿弥の言葉を引いた。

「伝えるためには自分の考え『我見(がけん)』だけではいけません。離れたところから見る『離見(りけん)』が必要です」

自分が話したいことを話しているだけでは伝わらない。聞いている側から自分を見る視点が必要だ、ということである。

質疑応答では、こうも語っていた。

「伝えることはうまくしゃべることではありません。心を伝えることによって相手と共有できるものがあります」

間を置く。相手の目を見る。声を張る。繰り返す。どれも技術ではあるが、その根底にあるのは相手の側から自分を見るという一点なのだろう。

明日の朝礼で、3秒黙ってみる。それだけでも、伝わり方は変わるかもしれない。

※本記事は、2021年8月に弊社主催で開催したオンライン講演「夢持ち続け日々精進」(講演者・髙田明氏/株式会社A and Live 代表取締役、株式会社ジャパネットたかた 創業者)の内容をもとに構成しています。

朝礼スピーチ例文(そのまま読めます)

読み上げ時間 約1分(約400文字)

ジャパネットたかたの創業者、髙田明さんが、ある講演でこんな話をされていました。

テレビショッピングで、あの高い声で商品を売っていた、あの方です。

「間を置かずに自分の言い分だけ言っても通じません。金額をいうときも、間を置くことにしています。3秒の間を空けるだけで、売上が3倍変わります」

3秒です。聞くと短いようですが、実際にやってみると、これがかなり長い。話している側は、沈黙が怖くなる長さです。

もう一つ、こんな話もされていました。営業に行って相手が3人いたら、3人の目を見ながら話す。じっくり間を置いて、相手の話も聞きながら、自分の主張を伝える。一番大事なのが間で、次に大事なのは、大事なことを繰り返すことだ、と。

ちなみにあの高い声も、生まれつきではないそうです。若い頃に16年間、宴会場で観光写真を撮る仕事をされていて、下を向いているお客さんに「こっちを向いてください」と声をかけ続けた結果だと話されていました。

間を置く。相手の目を見る。繰り返す。どれも今日からできることです。

今日の会議で、大事なことを言う前に3秒だけ黙ってみてください。

【講演録の全文はこちら(無料ダウンロード)】
髙田明氏『夢持ち続け日々精進』
本記事で紹介した「間」の話のほかに、課題を仕分ける「4つのボックス」、事業承継で大切にしたこと、写真屋時代の売り方の工夫などを収録しています。

執筆者情報

新谷 哲のアバター 新谷 哲 WizBiz株式会社 代表取締役社長

1971年、東京都生まれ。都立駒場高校出身。大学卒業後、ベンチャー・リンクに就職。銀行、信用金庫の融資コンサルタントを皮切りに、仙台支店長、東日本事業部長、執行役員を歴任。その後、常務執行役に就任し、経営コンサルティング部門や営業部門、サービス提供部門を統括。
2010年、当時赤字だった「WizBiz」という経営者向けネットメディア事業の20人の部下を引き連れ会社から独立。代表就任とともに、レカムの傘下に入り、レカム株式会社の100%子会社として、WizBiz株式会社を創業。2011年、レカムと光通信の出資分を全て買い取る。2023年12月、TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)市場へ上場。
現在、経営者向けネットメディア「WizBiz」を運営。国内では経営者の会員登録数でNo.1のメディアとなっている。また、経営者向けサービス提供としては、ネットだけでなく、リアルの場も力をいれており、年500回以上のセミナーを開催し、4000名を越す経営者が参加。18万人の社長アンケートから1000個の悩みを回収。

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